Sunday, March 25, 2007

いぬそだて

「犬を犬として考える」「犬を擬人化してはいけない」・・なんて、今はごく普通に聞く話です。これは、あんたは犬なんだから、と犬を突き放して飼う ことでも、犬がこう思ってるんじゃないだろうか?と先読みしてやることでもないと思います。今、この状況で犬はどう行動するか?、どのように考えるか?と いうことを、犬という生き物の性質を理解して考える、ことなんだと思います。私がイギリスで大変お世話になったバーバラ・サイクスは、これを「Think Like Canine(犬のように考える)」というフレーズで表しています。まあ、これもわかりにくい表現だとは思うのですが、犬は犬として行動することしかでき ない、だから人間が犬を理解しよう、ってことです。

ところで、以前ファームに、飼い主が大好きでとても群を大事にしている犬が遊びに来ました。でも、飼い主さんは他の人間のお友達を大切に思うので (人間と しては当たり前よね)、犬同士仲良く遊んでくれたらなー、なんておっしゃいます。人間同士がおしゃべりする間、犬たちは繋がれます。でも、丈夫な柱を見つ けて人間の邪魔にならない場所に、です。コマンドにはそれこそ忠実で、ちゃんと呼んだら帰ってきます。どこかで訓練を受けているのかたくさんのコマンドを 知っています。でも、些細なことで唸ったり、噛み付いたり、ヒステリックに吠え続けたりします。犬としては自然な成り行きでも、人間にとっての「問題」を 抱えてしまうわけですね。

さて、ここからはそんな犬たちに対する個人的な意見です。
こういう犬たちは、ちゃんと子犬時代を子犬として接してもらってなかったのかな?ってなんとなく思うのです。子犬はかわいいから、愛情はたっぷりもらって いるはず。じゃ、なんで人間がして欲しくないことをしてしまうのか、と考えたとき、人間の考える犬の育て方が、犬の犬としての成長にうまく働きかけていな いのではないか、と思ったのです。なんとなく時間とともに犬と人間との間にズレが生じてしまったというか・・・。

子犬をしつけましょう、教育しましょう・・・と言うと、コマンドを教えることを考えてしまいがちですが、そうではなくて、まずは、彼らの行動を見て あげること、良いことをしたらほめてやり、悪いことをしたら止めてやること。いつも身体で守ってやること。そんな普通のことをきちんとしてやることなんだ と思います。良い悪いはこの場合人間の尺度なので、犬の持って生まれた本能に任せておくことができないのです。子犬時代は人間の子供とあまり変わらなく て、群のルールは命令されたから従うものではなく、身に付けさせるものだと思うのです。

日本人の場合、玄関入ったら靴は脱ぐのよ!を、どれだけ長い期間子供に言い聞かせることか(笑)。おかげで、誰だっていつの間にか、自分から靴を脱 いで家に入るようになります(よね?)。やるべきことができたら、よくできたね、って目を見てやる。それで十分。やって欲しくないことをしたら、何度でも イケナ イよ、と伝えてやめさせる。いつでも、私の足元は安全だと伝えてやることも忘れない。すべて、言葉ではなくて人間の態度で表す。これだけなんじゃないのか なー、って思います。もちろん、言葉を理解し始めて、命令に従ったらほめてやるという時期が来ても、群の秩序を守っている犬たちにちゃんと声をかけてやる こと、気配りしてやることは大切だと思っています。やはり、彼らにはもともと刷り込まれていない人間のルールを覚えてもらっているのですから。

こういう土台ができてから、あちこちお出かけするのがいいと思います。いえ、土台作りの最中にお出かけしたってかまわないんですが、お外はいろいろ と刺激が多すぎるから、飼い主さんがとーーーーっても疲れるってだけです(笑)。この時期は野放しにしてはいけないのです。犬たちがどういう刺激を何から 受けて、それに対してどんな行動を起こすのか、ちゃんと見ていなければなりません。そして、先に書いたように伝えるべきことを伝える努力を惜しまないよう に。 そうすれば、信頼のおける犬に育つと思っています(犬を信頼できるようになることが「信頼関係」だと私は思っています)。人間は行動とともについ言葉が出 てしまうから、子犬を育てている人間は口うるさいおばさんになってるはずです(笑)。

今度は逆に考えてみます。
こういう土台作りがうまくいかなかった飼い主と犬。お互い大好きなのに秩序やルールの解釈が違っていたり、ルールをきちんと教わっていなかったりしたら、 自分が思うとおりに行動し(悪いと思ってないから)、飼い主が叱る(悪いと伝えたつもり)、ということになります。犬にしてみれば、え?なんで叱られる の!?です。飼い主の口調でいけないと察知して悪いことなんだと理解するかもしれません。飼い主が怖ければ納得してなくても従うこともあるでしょう。意見 する犬もあるかもしれないです。戸惑ってしまう犬、人間の言葉に心を閉ざす犬、、、犬の個性によってさまざまな表現をしてくるだろうと思います。最初のつ まづきに気づけば、いつだって関係修復は可能だと思いますが、気づかなければどんどん犬と人間との間にズレが生じてしまうような気がします。

私は人間や他の犬に威嚇して唸るような犬を育てたくないと思っているので、なんか犬との関係がうまくいってないなとか、「問題行動」と感じてしまう ような 場面があるときなどは、自分はちゃんと彼らに意思を伝えているだろうか?と考えることにしています。はじめに例に出した「問題」を抱えた犬たち、他の人や 犬と仲良く遊ぶことよりも、あなたの足元で安心していたいという気持ちが通じるといいね。

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